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ブラックな転職エージェントやブラック求人を見極めるコツ
この記事をご覧の皆さんの中には、「転職エージェントに登録して希望の条件を伝えたのに、送られてくる求人が希望とかけ離れたブラック企業ばかり…転職エージェントって本当に信頼できるの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は、現役の転職エージェントの視点から、転職エージェントは本当にブラック企業ばかり紹介するのか、ブラック企業を紹介するエージェントの見極め方、そしてブラック企業を紹介されないための対処法について解説します。
転職エージェントはブラック企業ばかり紹介してくるものなの?
結論から言うと、転職エージェントや担当キャリアアドバイザーによって質は異なるというのが現実です。
確かに、中には経営者やマネジメント層が人材をお金としか見ておらず、紹介フィーが高かったり、すぐに内定を出す会社ばかりを紹介する悪質なエージェントも存在します。こうしたエージェントは、入社後の定着や活躍を考慮せずに紹介することが多いです。
ただし、こういった悪質なエージェントは少数派です。多くの転職エージェントは、求職者の希望に沿った求人を紹介するために努力しています。
それでも、エージェントの質にはばらつきがあり、大手転職エージェントではキャリアアドバイザーが数百人〜千人規模で在籍しているため、担当者の当たり外れが大きくなりがちです。
ブラック企業ばかり紹介してくるダメな転職エージェントの見極め方
ブラック企業ばかりを紹介してくる転職エージェントを見極める方法は、以下の4つです。
1. 各転職エージェントの会社HPをチェックする
2. 転職エージェントに勤める友人・知人に聞いてみる
3. 転職決定先の業界や求人の実績を聞いてみる
4. 求人の紹介件数で見極める
それぞれの方法について、詳しく説明していきます。
1. 各転職エージェントの会社HPをチェックする
転職エージェントの公式サイトを確認する際には、会社の理念やビジョン、サービス方針、そして社長のメッセージなどをチェックすることをおすすめします。
これらの文章には、代表や社長の思いが込められていることが多いです。転職者の幸せやミスマッチを減らすための努力が感じられるかどうか、その言葉がリアルで信頼できるかどうかを注目してみてください。
こういった言葉が記載されている会社や社長は、サービスの質や姿勢においても信頼できる可能性が高いです。
2. 転職エージェントに勤めている友人・知人に聞いてみる
セカンドオピニオンとして、業界に詳しい友人や知人に意見を聞くのも有効です。
周囲に人材紹介会社や転職エージェントに勤めている友人・知人がいる場合、信頼できるエージェントや評判の悪いエージェントについて尋ねてみましょう。実際の経験から得られる情報は非常に参考になります。
3. 転職決定先の業界や求人の実績を聞いてみる
転職エージェントに登録した際、初回面談で担当キャリアアドバイザーに過去の転職支援実績について尋ねるのも一つの方法です。
業界、職種、企業など具体的な転職先をいくつか聞いてみて、それらが信頼できる企業なのかどうかを確認しましょう。具体的な個人名を出さなければ個人情報には該当しないため、エージェントが答えられないということはありません。
この方法を活用することで、そのエージェントがブラック企業を紹介しているかどうかを見極めることができます。
4. 求人の紹介件数で見極める
担当キャリアアドバイザーからの紹介求人数があまりに多い場合は、注意が必要かもしれません。
※もちろん、事前に転職者側で大量の求人を希望している場合は問題ありません。
求人紹介数が多いというのは業界や職種にもよりますが、一般的に15~20件以上を一度に紹介してくる場合は注意が必要です。
紹介会社として多くの求人を取り扱うのは悪いことではありませんが、面談を通じて転職者の志向やキャリアをしっかりと理解し、適切な求人を絞り込んで提案するのが良いキャリアアドバイザーの仕事です。
それにもかかわらず、紹介された求人が20件以上となると、実際に絞り込まれているのか疑問に思います。単に誰でも内定を出す企業や決まりやすい求人を送っているだけかもしれません。その中にはブラック企業が混ざっている可能性も考えられます。
大手の転職エージェントはブラック企業を紹介してくるって本当?
ここでは、転職者なら誰もが最初に登録するであろう大手有名転職エージェントについて、「ブラック企業を紹介されることがあるのか?」という疑問にお答えします。
大量に紹介された求人の中にブラック企業が含まれていることも
大手転職エージェントの場合、企業担当と個人担当で分業制を敷いていることがあります。この場合、個人担当のキャリアアドバイザーが取り扱う大量の求人の詳細を把握しておらず、とにかく多くの求人を提案して内定や入社の確率を上げようとする傾向があります。
また、キャリアアドバイザーの社員数が多いため、人件費や固定費が大きく、それを上回る売上や決定数を求められるプレッシャーも強いです。そのため、広く求人を網羅的に紹介・エントリーさせることで決定率を高めようとすることがあります。
このような状況下では、大量の求人の中にキャリアアドバイザーが意図せずにブラック企業が含まれてしまう可能性があります。したがって、注意が必要です。
エージェントにブラックの定義を具体的な項目として基準を提示して紹介時に排除してもらう
転職エージェントに対して、明確にブラック企業を排除してほしいと希望を伝えていないことが原因で、希望と異なる求人が紹介されることがあります。
ただ、「ブラック企業は避けてください」と伝えるのが恥ずかしい、あるいはエージェントが「ブラック企業とは具体的にどのような企業ですか?」と困ってしまう可能性があります。
ブラック企業の定義は人によって異なり、主観的な部分も多いため、自分にとってのブラック企業の定義を明確にし、その具体的な要件をエージェントに伝えることが重要です。
例えば、以下のような項目を基準にすることが考えられます。
・残業時間が毎月60時間を超える会社は避けたいです
・固定給与が月20万円以下の会社は避けたいです
・体育会系の社風や怒鳴り声が飛び交う会社は避けたいです
このように具体的な希望をエージェントに伝えれば、一定のレベルでブラック企業を排除してもらえるでしょう。
大手エージェントのサービスの質は担当アドバイザーに大きく左右される
大手転職エージェントは社員数が多く、キャリアアドバイザーも数百人から1,000人単位で在籍しています。そのため、担当キャリアアドバイザーによってサービスの質が大きく異なることがあります。
通常、担当者を自分で指名することはできないため、誰が担当になるかは運次第です。
もし相性が悪かったり、ブラック企業の求人ばかり紹介してくるキャリアアドバイザーが担当になった場合は、会社宛てに担当変更の依頼や相談をしてみましょう。
また、友人・知人で転職エージェントを利用して満足度が高かった人がいれば、その友人に担当キャリアアドバイザーを紹介してもらうのも一つの方法です。友人が相性が良かった担当者は、自分にも合う可能性が高いでしょう。
転職サイトのほうがブラック企業の割合が高い可能性も
結論から言うと、転職エージェントと比較した場合、転職サイト・求人サイトに掲載されている求人のほうがブラック企業の割合が高い可能性があります。
なぜなら、採用企業の視点から見ると、求人広告・求人サイトは転職エージェントと比較して大量採用に向いているためです。
採用企業からすると、転職エージェントの採用課金モデルは、1人採用決定につき年収の35%程度を支払う必要があり、何名採用してもコストが増えます。
一方で転職サイト・求人サイトは、掲載時に一度の掲載費用が発生するモデルであるため、一度の掲載で複数名採用できれば1人あたりのコストは下がります。
そのため、大量採用を目指す企業にとっては、安く大量採用が可能な転職サイトの方が好都合です。
転職サイトに掲載する企業は、一人一人を厳選して採用するよりも、大量採用を重視する傾向があります。実際に、転職サイトに掲載されている求人を見てみると、飲食チェーンのホールスタッフや投資用マンションの営業、生命保険の営業など、離職率が高めの業界が多いです。
ただし、転職サイトにも掲載課金モデルと成果報酬型課金モデルの2つがあります。掲載課金モデルの場合、前述の内容が当てはまりますが、成果報酬型課金モデルは転職エージェントと同じように成功報酬が発生するため、このケースには当てはまりにくいです。
成果報酬型課金モデルの代表的なサイトには、リブセンスが運営する「転職ナビ」やアトラエが運営する「Green」などがあります。
紹介された求人がブラック企業かどうかを見極めるコツ
求人を紹介された際に、その求人がブラック企業かどうかを見極めるためのポイントをご紹介します。
転職口コミサイトを参考にする
世の中には会社ごとの社員の口コミや評判が掲載されている転職口コミサイトがあります。紹介された求人で気になる会社を調べる際に利用すると良いでしょう。具体的には、以下のようなサイトがあります。
・OpenWork (Open Work運営)
・転職会議 (リブセンス運営)
・キャリコネ (グローバルウェイ運営)
・Lighthouse (エン・ジャパン運営)
ただし、これらの口コミサイトの情報をすべて鵜呑みにしないことが重要です。なぜなら、これらの口コミは退職者や退職予定者が書いていることが多く、過度にネガティブな意見に偏っている場合があるからです。
そのため、口コミを参考にする際は、情報の偏りを考慮しながら解釈することをお勧めします。どんな会社でも課題はありますし、人によって合う・合わないがあるものです。そうした視点で口コミサイトを活用すると良いでしょう。
その会社に所属する友人や知人にOB訪問してみる
口コミサイトの情報だけでは限界があるため、可能であれば求人企業に在籍している友人や知人を探してOB訪問し、実際の話を聞くのも良い方法です。
誰でもできることではないかもしれませんが、SNSが普及している現在では、Facebookやツイッター、LinkedInなどで直接メッセージを送ってお願いしてみるという手段もあります。勇気が必要かもしれませんが、断られる可能性を承知の上で試してみる価値はあるでしょう。
このように、ネット上の情報と実際に働いている人の意見を組み合わせて判断することで、紹介された求人がブラック企業かどうかをより確実に見極めることができます。
セカンドオピニオンとして他社エージェントのコンサルタントにコメントをもらう
一つの転職エージェントだけを利用するのではなく、2~3社のエージェントに登録し、他のエージェントから紹介された求人リストを共有してもらい、ブラック企業かどうかチェックしてもらうのも一つの方法です。
ただし、これを過度に行うと、エージェントから自己中心的で都合よく利用されていると感じられるリスクがあります。ですので、理由を謙虚に伝えながらチェックをお願いするのが良いでしょう。
転職エージェントは転職のプロですから、彼らの視点で求人を確認してもらうことで、新たな視点から求人を見極めることができるようになります。
ブラックになりがちな業界・職種
紹介された企業がブラックかどうかを見極める方法をご紹介しましたが、構造的にブラックになりがちな業界や職種も存在します。以下に、ブラック企業になりやすい業界やビジネスモデルをピックアップしましたので、求人を選ぶ際の参考にしてください。
※以下の業界に含まれていても優良な会社もあるため、あくまで傾向としてご確認ください。
激務・薄給になりやすい業界・職種:
・賃貸不動産業界
・飲食業界
・アパレル業界
・塾・教育業界
・旅行代理店
・ウェディングプランナー
営業ノルマが厳しい、体育会系になりがちな業界:
・生命保険業界
・投資用マンション販売業界
・ノンバンク、先物取引業界
・通信機器、インターネット電話回線販売業界
・オフィス什器、備品販売業界
・証券業界
マネジメントが厳しめになりがちな業界:
・芸能事務所
・販売促進、イベント業界
・古くからある中小オーナー企業
・大手財閥系のグループ子会社
戦略的なブラック企業への転職もあり
これは誰にでもオススメできるわけではありませんが、自立したビジネスパーソンとして20代・若手のうちに実力を高めたいという成長意欲が高い人であれば、あえてブラック企業を選ぶという戦略的選択も考えられます。
もちろん、犯罪や公序良俗に反する会社はどんな場合でもオススメしませんが、激務で給与が低く、上司からのプレッシャーが厳しい会社であっても、そこでビジネススキルやサバイバル力、専門性が3年程度で身につく見込みがあるのであれば、戦略的にブラック企業に飛び込むという方法もあります。
重要なのは、この選択がリターンを見込めるかどうかです。単に辛いだけで損をするのであれば意味がありません。経験価値というリターンを明確にした上で、その会社に入るべきです。一生その会社に勤めるわけではなく、3年ほどで実力がついたら次の会社に転職やキャリアアップする前提で割り切ると、それはそれで有効な選択肢となります。
私はこれを「1回しゃがんでからジャンプするキャリア」とよく表現しています。この視点を持つことで、キャリアや求人を見る視点や幅が広がると思いますので、参考にしてみてください。
転職エージェントはあなたの使い方次第
「ブラック企業を見極めて選別してくれるのが転職エージェントやキャリアアドバイザーの役割じゃないの?」と思われるかもしれません。大手転職エージェントは圧倒的な求人の数と網羅性があり、一概にそれが悪かったり価値がないとは言えません。
要は、どんなサービスも使いようだと思うのです。
転職エージェントは、転職のプロです。わからないことや不安の多い転職活動において、プロのサポートを受けることで成功率が上がる可能性があります。
ただし、担当コンサルタントによってサービスの質に差があったり、紹介された求人が自分の希望に合わないこともあります。
転職エージェントをうまく利用するためには、まず2~3社のエージェントに登録し、他のエージェントから紹介された求人リストを共有してブラック企業がないかチェックしてもらうのも一つの方法です。また、担当コンサルタントとの相性を比較して、最終的にサポートを依頼するエージェントを選ぶことも重要です。これにより、自分に合ったエージェントを見つけ、転職活動を成功させる確率を高めることができるでしょう。