ワーケーション制度が充実している会社ランキング｜2025年最新版

働き方改革が進む中、「ワーケーション制度」を導入する企業が注目を集めています。観光庁が実施した調査では、利用者となる従業員のワーケーションに関する認知率は約8割にのぼりましたが、実際に制度を導入している企業はまだ限られているのが現状です。

本記事では、ワーケーション制度が特に充実している企業をランキング形式でご紹介し、転職やキャリアアップを検討する際の参考にしていただけるよう詳しく解説します。

ワーケーション制度とは？基本知識

ワーケーションとは、「Work（仕事）」と「Vacation（休暇）」を組み合わせた造語で、テレワーク等を活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすことを指します。

ワーケーションの4つのスタイル

スタイル	特徴	メリット
福利厚生型	有給休暇を活用してリゾートや観光地等でテレワーク	リフレッシュ効果、長期休暇取得促進
地域課題解決型	地域関係者との交流を通じて課題解決に参加	社会貢献、新しいアイデア創出
合宿型	職場メンバーと場所を変えて議論・業務	チームビルディング、創造性向上
サテライトオフィス型	各地のシェアオフィス等で勤務	通勤時間削減、柔軟な働き方

現在の導入状況

観光庁の調査によると、企業のワーケーション導入率は5.3％となっており、テレワーク導入率は38.3％と比較するとまだまだ普及段階にあります。しかし、矢野経済研究所が発表した調査結果では、2025年には市場規模が3622億円に成長すると予測されており、今後の拡大が期待されています。

ワーケーション制度充実度ランキング【2025年版】

ここでは、制度の充実度、先駆性、利用実績、独自性を総合的に評価してランキングを作成しました。

1位：JAL（日本航空株式会社）

評価：★★★★★

JALは2017年7月に日本の大企業で初めて、ワーケーションを制度化した先駆的企業です。

制度の特徴

• 導入時期：2017年7月（日本企業初の本格導入）
• 対象者：全社員
• 利用期間：年間を通じて利用可能
• 場所：国内外問わず自由選択
• サポート：セキュリティレベルの高いPC・スマホ貸与

実績・成果

2018年は174名、2019年は247名の本社社員がワーケーションを取得しており、継続的な利用拡大を実現しています。また、2019年5月にはワーケーションに続いて、出張先で休暇を取れる「ブリージャー」も導入し、制度の幅を広げています。

編集部コメント：日本のワーケーション制度のパイオニアとして、他社が参考にするモデルケースを数多く生み出している点が高く評価されます。

2位：ユニリーバ・ジャパン

評価：★★★★★

2016年7月に働く場所や時間を社員が自由に選べる新しい働き方「WAA（Work from Anywhere and Anytime）」を導入した革新的企業です。

制度の特徴

• 導入時期：2016年7月（WAA制度）、2019年7月（地域deWAA）
• 対象者：工場オペレーター業務を除く全社員
• 独自性：地方自治体と提携した「地域deWAA」
• 提携地域：北海道下川町、宮城県女川町、山形県酒田市、静岡県掛川市、山口県長門市、宮崎県新富町、福井県高浜町の7地方自治体と提携

実績・成果

実施率はほぼ100%となっており、社員の7割がポジティブな変化を実感、生産性は平均30％向上という具体的な成果を上げています。

編集部コメント：単なる制度導入にとどまらず、地域創生との連携という社会的意義のある取り組みが印象的です。

3位：野村総合研究所（NRI）

評価：★★★★☆

ワーケーションへの取り組みは2017年から始まり、徳島県三好市にある古民家で、平日は通常の業務を行い、週末は休暇を取る仕組みを構築しています。

制度の特徴

• 導入時期：2017年
• 独自性：「三好キャンプ」と呼ばれる中期滞在型
• 期間：1ヶ月間を前後2週間で区切り、年3回実施
• 参加者数：延べ15～16人が参加

目的・効果

目的のひとつは社員の業務的なモチベーションを維持するための解決策で、もうひとつは働く環境を変えることによって社員に気付きや発見があり、イノベーションが生まれることへの期待としています。

編集部コメント：長期滞在型という独自のアプローチで、深い地域との関わりを重視している点が特徴的です。

4位：JTB

評価：★★★★☆

JTBは2019年3月からホノルル支店にワーケーション用のスペースを設け、「ワーケーション・ハワイ制度」を設立しています。

制度の特徴

• 導入時期：2019年3月
• 場所：ハワイ（ホノルル支店）、沖縄等
• 対象者：社員およびJTB利用客
• 特色：海外ワーケーションの先駆け

展開状況

沖縄など、日本国内においても新たなワーケーションスペースを展開中で、ワーケーション事業の拡大を図っています。

編集部コメント：海外展開という他社にない特色と、旅行業界のノウハウを活かした制度設計が評価されます。

5位：三菱UFJ銀行

評価：★★★☆☆

三菱UFJ銀行は、避暑・軽井沢でワーケーションをおこなっています。会社が保有する保養所にITオフィスを新設し、ワーケーションの拠点としています。

制度の特徴

• 場所：軽井沢の自社保養所
• 設備：保養所内にITオフィスを新設
• 対象者：社員とその家族

特色

家族と軽井沢に滞在しながら仕事と休暇を両立できるということで、従業員からの評価も上々となっており、ファミリー向けの制度として注目されています。

編集部コメント：金融業界としては先進的な取り組みで、家族との時間を重視した制度設計が印象的です。

6位：ランサーズ株式会社

評価：★★★☆☆

「ランサーズ株式会社」では、以前から働く場所に制限を設けておらず、会社で決めているルールに則れば「ワーケーション」という働き方も可能な環境を作っています。

制度の特徴

• 自由度：働く場所に制限なし
• 実績：世界一周旅行しながら働く社員など、「時間と場所にとらわれない働き方」を実践している社員が数多くいる
• 企業文化：フレキシブルワークが定着

編集部コメント：IT企業らしい柔軟性の高い制度で、個人の裁量を重視したアプローチが特徴的です。

業界別ワーケーション制度導入状況

IT・通信業界

最も導入が進んでいる業界で、以下の企業が積極的に制度を導入しています：

• 日本マイクロソフト
• セールスフォース・ドットコム
• サイボウズ

航空・旅行業界

業界特性を活かした制度設計が特徴：

• JAL（先駆的導入）
• JTB（海外展開）

金融業界

従来保守的だった業界でも導入が始まっています：

• 三菱UFJ銀行

コンサルティング業界

知識労働の特性を活かした制度：

• 野村総合研究所
• LIFULL

ワーケーション制度導入企業を選ぶメリット

キャリア面でのメリット

1. 働き方の選択肢拡大 ワーケーション制度がある企業では、ライフステージに応じた柔軟な働き方が可能になります。特に育児や介護などで地理的制約がある場合に大きなメリットとなります。

2. スキルアップ機会の増加 地域関係者やコワーキングスペースなどその場で出会った人達との情報交換や交流に対する期待があり、新しいネットワーク構築やスキル獲得の機会が広がります。

3. 生産性向上 ワーケーション導入で生産性20%向上した事例もあり、環境の変化による集中力向上が期待できます。

個人的なメリット

1. ワークライフバランスの実現 有給休暇を取得しやすくなれば観光のハイシーズンを避けてワーケーションを行うことができ、特定の時期に旅行需要が集中することを回避できます。

2. ストレス軽減とリフレッシュ 環境の変化により、日常業務のマンネリから脱却し、新鮮な気持ちで業務に取り組めます。

3. 地域貢献の実感 特に地域連携型のワーケーションでは、自分の仕事が社会貢献につながる実感を得られます。

ワーケーション制度の課題と注意点

企業側の課題

「月刊総務」が実施した調査によれば、ワーケーション制度を「導入を検討したことはない」企業が85.4%にのぼり、導入に消極的な姿勢が浮き彫りとなったのが現状です。

主な課題として以下が挙げられます：

1. セキュリティ面の不安 機密情報の取り扱いやアクセス管理の課題

2. 労務管理の複雑化 勤怠管理や労働時間の把握が困難

3. コミュニケーション不足 チーム連携や情報共有の問題

利用者側の注意点

1. 環境選択の重要性 企業にワーケーションを導入する理由として、セキュリティやスピード面が確保されたWi-Fi等の通信環境に対する要望が53.4％で最も高くなっており、適切な作業環境の確保が必要です。

2. 自己管理能力 普段とは異なる環境での集中力維持や時間管理が求められます。

今後のワーケーション制度の展望

市場予測

2023年度のワーケーション市場は1,000億円を越える規模になると予測されており、制度導入企業は今後も増加が見込まれます。

政府の取り組み

観光庁では、ワーケーション等の送り手である企業と受け手である地域の取組の定着や継続的な関係性の構築につなげるため、企業と地域を対象としてマッチングを行い、効果検証や企業の制度導入、地域の受入体制整備を進めるためのモデル実証事業を実施しており、国を挙げた推進が行われています。

制度の進化方向

1. デジタル環境の整備：より安全で使いやすいリモートワーク環境
2. 地域連携の深化：企業と地域のより深いパートナーシップ
3. 制度の標準化：労務管理や評価制度の整備

まとめ：スキルアップを目指すなら注目したい制度

ワーケーション制度は、単なる福利厚生を超えて、働く人のキャリア形成や成長機会の拡大に大きく貢献する制度として注目されています。

特に以下のような方には、ワーケーション制度充実企業への転職をおすすめします：

• 新しい働き方にチャレンジしたい方
• ワークライフバランスを重視する方
• 地域貢献や社会的意義を感じながら働きたい方
• 創造性や発想力を高めたい方

企業におけるワーケーションの認知度は約8割に達しており、今後制度導入企業は確実に増加していくでしょう。転職やキャリアアップを検討する際は、ワーケーション制度の有無や充実度も重要な判断材料として考慮してみてはいかがでしょうか。働き方の多様化が進む現代において、ワーケーション制度は新しいキャリアの可能性を広げる重要な制度として、今後ますます注目を集めることが予想されます。

参考資料

• 観光庁「ワーケーション&ブレジャー」
• 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」